-
斜角筋症候群
症状
40歳女性。千代田区鍛冶町勤務のデスクワーカー。20年前から右腕がたまにしびれることがあったがそれほど気にしていなかった。半年前からしびれが強くなりひどい時は痛くてコップなど軽い物も持てなくなる。
整形外科を受診。ストレートネックの診断で牽引の治療を受けていたが症状の改善はみられなった。今は少ししびれがあり、むくみも感じる。
-
施術内容
姿勢は反り腰、猫背で全身の張りが強い。
特に小胸筋と斜角筋群の緊張が強い。
整形外科検査でアドソンテスト陽性。
斜角筋症候群の可能性が高い。施術は反り腰、猫背を戻すようにアプローチ。
緊張した斜角筋群、小胸筋をゆるめて頚椎の生理的前弯に戻す。
初回で80%の改善がみられた。3回目でしびれ、痛みは改善した。
むくみも消失。自宅でのストレッチのアドバイス。
座り姿勢の指導をする。経過観察中。
さらに詳しく
C5~T1までの神経根は頚椎の椎間孔を出て腕神経叢を形成して上肢末梢まで神経を伸ばします。この神経は斜角筋トンネルと呼ばれる部分を通過します。このトンネルは前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋で形成されていて、デスクワーク時に多い頭部前方位姿勢では前斜角筋と中斜角筋が緊張すると前壁と後壁の間は狭くなる。両筋が第1肋骨を引き上げ、底面も上昇するのでさらにこの空間が狭くなり腕神経叢の絞扼障害が起こり、神経症状が出現します。またこのトンネルには椎骨動脈が通過しているため循環障害も起こり冷や汗、浮腫などの原因にもなります。
また呼吸器系の問題を抱えている人は努力呼吸が多いため、斜角筋群の過緊張が生じやすくなります。
腕神経叢が圧迫されると、交感神経系の興奮が伝わらないため、末梢血管が拡張せずに循環障害が生じる。特に腕神経叢の中でも正中神経や尺骨神経には交感神経線維が多く含まれている。そのため、冷感は前腕部に生じることが多い。
このような症状を斜角筋症候群と呼びます。他にも肋鎖症候群、小胸筋症候群があり3つまとめて
胸郭出口症候群と言います。
神経、血管が斜角筋の間を通るため圧迫されると首、腕、手などに痛みやしびれ、
力が入らないなど様々な症状がでることがあります。
胸郭出口症候群は上肢のしびれや脱力感といった運動・感覚障害があり
鑑別検査は特異性が低く確定診断が確立されていません。
しかし施術によって改善ができる疾患でもあります。